機械工学領域 修士課程1年
機械力学研究室(山崎 徹研究室)所属
神奈川大学工学部機械工学科卒業
子どもの頃からものづくりが好きでした。高校では物理の先生が熱心に教えてくださったおかげで物理が面白いと思うようになりました。なかでも物体の運動についての問題は得意でしたね。
神奈川大学に進学したのは、家から通えるということと、機械やものづくりに興味があったから。卒業後は、兄が理系の大学院生だったので自然な流れで大学院に進みました。
山崎研究室に入ったのは、学部1年生のときから授業で山崎先生を知っていて、先生の人柄が好きだったことと、先生がテーマとしている音響に興味があったからです。また、山崎先生の研究室には、企業や外部の研究室から来られている“大人”の院生が多く、さまざまなことを教えていただきながら研究できることが魅力だと思いました。
神奈川大学のよいところは、まずは奨学金制度が充実しているところです。学ぶことに集中できる環境はとてもありがたいものだと感じています。
そして機械工学科は、実験や実習、製図など、実践的な授業が充実していて1年生からものづくりの基礎が学べることがよいところだと思います。特に、23号館の地下にある工作センターの設備が充実しているのはお気に入りのポイントですね。
学内の学生にもあまり知られていませんが、企業で使われているような大型機械がたくさんあり、実際にそれらを使って本格的なものづくりを体験できるのは他の大学にはない魅力だと思います。また、先生や職員の方が面倒見がよいこともよいところですね。
4年生から山崎研究室に所属し、今は院生として同じ研究室で研究をしています。
研究室に入ってから、自分自身の学問に対する姿勢が変わったように感じています。以前は受け身の学びでしたが、今は自分でテーマを持ち、自分で計画を立てて実験をし、論文にまとめていかなければなりません。
先生や先輩に助言はいただくものの、すべて自分で責任を持たなければならない点が、大きな違いだと思います。また、経験豊富な院生が多く在籍しているので、専門的な意見を聞く機会が増えたことで大学院に進んでからはさらに勉強になっています。研究室ではいろいろな人の意見を聞くことで新しい発見があり、それが研究活動に直接役立つことも多いです。
私が今取り組んでいる研究は、道路交通騒音を対象とした、住民からの問題意識についてです。道路交通騒音には、騒音規制法に基づいて設定した規制値というものがあります。規制値より騒音が低ければ環境基準を達成していることになります。ところが、環境基準の達成率は高いのに自動車騒音に対する住民の苦情が減っていないのが実情です。その理由を探るのが研究の目的です。
方法としては、住民にアンケートを取り、その結果を統計学や環境騒音についての知識を用いて分析をしていきます。私の研究が他と少し違うのは、イメージグリッド法というこれまでとは異なる方法を実施したことです。イメージグリッド法は、臨床心理学で使われる手法で、これを用いることにより、人の潜在意識から苦情の原因を探ろうとしたのです。年齢、性別、住居の状況、経済状況、感受性など一般的には騒音とは関係ないと思われる要因と、騒音不満との相関関係を調べました。
調査にあたっては、住民の方々にメールで協力依頼をしたり質問紙を送ったりする作業があります。理解を得るためにきちんと主旨を説明したり、アンケートではなるべく少ないやりとりで欲しい情報が得られるよう、質問文を何度も練り直したり。それでも時には「なぜこんなことに答えなければならないのか」と、お叱りを受けることもあり、コミュニケーションの難しさを実感しました。
しかし、苦労した甲斐あって、非常に興味深い結果が導かれました。手法の新規性も評価され、今年の春に「幹線道路を取り巻く環境に関する住民意識の調査」という論文にまとめ、学会に発表しました。学会論文は、学内の人にしか見られない卒論と違って不特定多数の方々に読まれるものなので、ロジックの立て方や考察の展開など大変気を遣いました。苦労してまとめた分、良い経験になり、自分の成長につながったと思います。
研究室ではこれまで4本の論文を書きました。これは、研究室内でも多いのではないかと思います。先生が情報を提供してくださるので積極的に手を挙げ、論文を書くようにしてきたからです。
せっかくその道の専門の先生や院生の方々がいる研究室ですから、助言をいただきながらチャンスがあれば積極的にチャレンジすることは大事だと思います。研究室では先生や先輩の院生たちが論文の書き方はもちろん、発表の仕方、話し方、質疑応答など教えてくださいます。発表の練習では、本番さながらに厳しい質問が飛ぶこともあり、とてもよい準備ができました。
将来は、エンジニアとしてものづくりの業界に就職したいです。環境騒音や統計学などに関する専門知識を日々勉強し、この分野で仕事ができたらと思います。また、山崎研究室はもちろん、他の研究室の人たちともネットワークを作り、分野を超えて常に最新の情報にアクセスできるようにしておきたいですね。